【初心者必見】株価チャートの基本!移動平均線とゴールデンクロス/デッドクロスを徹底解説

【初心者必見】株価チャートの基本!移動平均線とゴールデンクロス/デッドクロスを徹底解説

株式投資 チャート分析

株式投資を始めたいけれど、「チャート」と聞くと何だか難しそう…と感じていませんか?無数の線や棒が並んでいるのを見ると、どこから手をつけていいか分からなくなりますよね。しかし、チャートは企業の株価がこれまでどのような値動きをしてきたかを示す「地図」のようなものであり、その読み方を少し知るだけで、投資の精度を格段に上げることができます。

この記事では、数あるチャート分析の中でも、特に初心者にとって分かりやすく、多くの投資家が利用している「移動平均線(いどうへいきんせん)」という指標に焦点を当てて解説します。さらに、移動平均線が示す重要な売買サインである「ゴールデンクロス」「デッドクロス」についても、具体例を交えながら丁寧に説明していきます。この記事を読み終える頃には、チャートへの苦手意識がなくなり、自信を持って株価のトレンドを判断できるようになるでしょう。

第1章:テクニカル分析の第一歩!「移動平均線」とは?

まずは、テクニカル分析の基本中の基本である「移動平均線」について理解を深めましょう。専門用語が出てきますが、一つひとつ解説するので安心してください。

移動平均線ってなに?一言でいうと「株価の平均点」

移動平均線とは、ある一定期間の株価(通常は終値)の平均値を計算し、それを線で結んだものです。 [fujitomi.co.jp, gaitame.com] 毎日変動する株価をそのまま見ていると、細かな上下に惑わされて大きな流れを見失いがちです。そこで、株価を平均化することで、日々の細かな動きをならし、より滑らかな線にしてトレンド(株価の方向性)を分かりやすくしてくれます。 [fujitomi.co.jp, gaitame.com]

例えるなら、テストの点数です。一回ごとの点数(日々の株価)は上下しますが、5教科の平均点(移動平均線)を見ることで、自分の学力が今上がっているのか、下がっているのかという大きな傾向が掴みやすくなるのと同じです。

なぜ移動平均線が重要なのか?

移動平均線が多くの投資家に使われる理由は、そのシンプルさと分かりやすさにあります。主な役割は以下の2つです。

  • トレンドの方向性が一目でわかる:線の傾きを見るだけで、現在の相場が上昇傾向(上昇トレンド)なのか、下降傾向(下降トレンド)なのかを直感的に把握できます。 [gaitame.com, diamond.jp]
  • 売買のタイミングを教えてくれる:後述する「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」など、トレンドの転換点を示唆するサインを見つけることができます。

短期・中期・長期線の違いと使い方

移動平均線は、平均を計算する期間によっていくつかの種類に分けられます。期間が短いほど直近の株価に敏感に反応し、長いほど反応は緩やかになります。一般的に使われるのは以下の3つです。

種類 一般的な期間(日足の場合) 特徴 役割
短期線 5日、10日 株価の動きに最も敏感に反応する。 短期的な売買タイミングを計るのに使われる。
中期線 25日、75日 約1ヶ月~3ヶ月のトレンドを示す。多くの投資家が意識する。 [diamond.jp, gaitame.com] 相場の中心的な流れを把握する基準となる。
長期線 100日、200日 反応は遅いが、安定的で信頼性が高い大きなトレンドを示す。 長期的な視点での相場の方向性を確認するのに使われる。

これらの線を複数表示させることで、短期的な勢いと長期的な大きな流れを同時に把握することができ、より精度の高い分析が可能になります。

移動平均線の基本的な見方

移動平均線を見る上で押さえておきたい基本的なポイントは2つです。

  1. 線の「傾き」でトレンドを判断する
    • 右肩上がり:線が上向きの場合、上昇トレンドと判断できます。買い手が優勢な状況です。 [gaitame.com, diamond.jp]
    • 右肩下がり:線が下向きの場合、下降トレンドと判断できます。売り手が優勢な状況です。 [gaitame.com, diamond.jp]
    • 横ばい:方向感がなく、買い手と売り手の力が拮抗している「レンジ相場(もちあい相場)」の可能性があります。 [oanda.jp, matsui.co.jp]
  2. 株価(ローソク足)との「位置関係」で勢いを判断する
    • 株価 > 移動平均線:株価が移動平均線よりも上にある状態。相場は強いと判断され、上昇の勢いが継続しやすいと考えられます。 [diamond.jp, gaitame.com]
    • 株価 移動平均線:株価が移動平均線よりも下にある状態。相場は弱いと判断され、下落の勢いが継続しやすいと考えられます。

このように、移動平均線は株価の「健康状態」を教えてくれる便利な指標なのです。

第2章:最強の売買サイン?「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」

移動平均線の基本がわかったところで、次はいよいよ本題の「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」です。これらは、トレンドの転換点を示す非常に有名なサインで、多くの投資家が注目しています。

買いのサイン:「ゴールデンクロス」

ゴールデンクロス チャート図

ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が、中長期の移動平均線を下から上へ突き抜ける現象のことです。 [money-voyage.mizuho-sc.com, oanda.jp] これは、直近の株価の勢いが過去の長期的なトレンドを上回ってきたことを意味し、本格的な上昇トレンドへの転換を示す「買いサイン」とされています。 [money-voyage.mizuho-sc.com, oanda.jp]

例えば、5日線(短期)が25日線(中期)を上に抜けるといった形です。ゴールデンクロスが発生すると、市場参加者の多くが「これから株価が上がるかもしれない」と意識するため、買い注文が集まりやすくなり、実際に上昇トレンドが形成されることがよくあります。

売りのサイン:「デッドクロス」

デッドクロス チャート図

デッドクロスはゴールデンクロスの逆で、短期の移動平均線が、中長期の移動平均線を上から下へ突き抜ける現象を指します。 [money-voyage.mizuho-sc.com, oanda.jp] これは、直近の株価の勢いが弱まり、長期的なトレンドを下回ってきたことを意味します。本格的な下降トレンドへの転換を示す「売りサイン」とされ、保有している株式の売却や、信用取引での「空売り」を検討するタイミングとなります。

デッドクロスが発生すると、「これから株価が下がるかもしれない」という市場心理が働き、売り注文が増えることで、下落トレンドが加速する傾向があります。

第3章:移動平均線を使った具体的な売買戦略

ゴールデンクロスとデッドクロスは強力なサインですが、これだけで売買するのは早計です。より実践的な戦略を身につけましょう。

基本戦略:クロスに従うトレンドフォロー

最も基本的な戦略は、ゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売る「トレンドフォロー(順張り)」です。しかし、より精度の高いエントリーを目指すために、一歩進んだ分析手法も知っておくと便利です。

応用戦略①:グランビルの法則

「グランビルの法則」とは、移動平均線の考案者であるジョセフ・E・グランビル氏が提唱した、株価と移動平均線の位置関係から売買タイミングを判断する8つのルールのことです。 [6, 8] 全てを覚えるのは大変なので、ここでは初心者でも特に使いやすい代表的な売買サインを4つ紹介します。

【買いのサイン】

  1. 新規買い:移動平均線が横ばいか上向きに転じた後、株価が移動平均線を下から上に抜けたら買い。 [11] (ゴールデンクロスに近い考え方)
  2. 押し目買い:移動平均線が上昇トレンド中に、株価が一時的に下落して移動平均線を下回った後、再び上昇して移動平均線を抜けたら買い。 [11]

【売りのサイン】

  1. 新規売り:移動平均線が横ばいか下向きに転じた後、株価が移動平均線を上から下に抜けたら売り。 [11] (デッドクロスに近い考え方)
  2. 戻り売り:移動平均線が下降トレンド中に、株価が一時的に上昇して移動平均線を上回った後、再び下落して移動平均線を抜けたら売り。 [11]

グランビルの法則は、単純なクロスだけでなく、トレンド中の「押し目」や「戻り」といった、より有利な価格でエントリーするタイミングを教えてくれます。 [5]

応用戦略②:パーフェクトオーダー

パーフェクトオーダー チャート

パーフェクトオーダーとは、短期・中期・長期の3本の移動平均線が、上から順番に「短期線・中期線・長期線」と並び、3本ともが右肩上がりの状態のことです。 [1, 2] これは非常に強い上昇トレンドが発生していることを示唆する「強力な買いサイン」とされています。 [1, 3]

逆に、上から「長期線・中期線・短期線」と並び、3本ともが右肩下がりの場合は、非常に強い下降トレンドを示しており、絶好の売り(または空売り)のタイミングと判断できます。 [1] パーフェクトオーダーが発生している間は、トレンドが継続しやすいと考えられるため、目先の小さな変動に惑わされずにポジションを保有し続ける戦略が有効です。

第4章:必勝ではない!ゴールデンクロスの注意点と「ダマシ」の見抜き方

ここまで移動平均線の有効性を解説してきましたが、残念ながらテクニカル分析に「100%絶対」はありません。ゴールデンクロスやデッドクロスも、時に投資家を惑わす「ダマシ」のサインとなることがあります。

「ダマシ」とは何か?

「ダマシ」とは、売買サインが出たにもかかわらず、その後に株価がセオリーとは逆の方向に動いてしまう現象のことです。 [22] 例えば、ゴールデンクロスが発生して「これから上がる!」と期待して買ったら、すぐに株価が下落に転じてしまうようなケースです。 [matsui.co.jp, oanda.jp] ダマシに引っかかると、高値で買ったり、安値で売ったりすることになり、大きな損失につながりかねません。

ダマシが起こりやすい相場

ダマシは特に「レンジ相場(ボックス相場)」で頻発します。レンジ相場とは、株価が一定の範囲内を行ったり来たりしている方向感のない状態のことです。このような相場では、移動平均線が何度も交差し、ゴールデンクロスとデッドクロスが頻繁に現れますが、どちらも長続きせずに終わることが多いのです。 [oanda.jp, matsui.co.jp]

ダマシを回避するための3つのテクニック

ダマシを100%避けることは不可能ですが、その確率を減らすための方法はあります。 [18, 20] 以下の3つのポイントを意識しましょう。

  1. 長期のトレンドを確認する(木を見て森も見る)

    短期的なチャート(日足)でゴールデンクロスが出ても、より長期的なチャート(週足や月足)が下降トレンドの最中であれば、そのゴールデンクロスは一時的な反発に過ぎず、ダマシに終わる可能性が高いです。 [matsui.co.jp, diamond.jp] 必ず、短期・中期・長期の複数の時間足を確認し、大きなトレンドの方向性を把握する習慣をつけましょう。 [23]

  2. 「出来高」を伴っているか確認する

    出来高とは、その日に成立した売買の株数のことで、市場の関心度やエネルギーの大きさを示します。ゴールデンクロスが発生した時に、普段よりも出来高が急増していれば、そのクロスは多くの市場参加者に支持された本物のサインである可能性が高まります。 [22] 逆に、出来高が少ないままのクロスは、エネルギーが不足しておりダマシになる可能性を疑うべきです。

  3. 他のテクニカル指標と組み合わせる

    移動平均線だけでなく、他のテクニカル指標と組み合わせることで、分析の精度を高めることができます。 [10, 17] 例えば、相場の「買われすぎ」「売られすぎ」を判断する「RSI」という指標があります。ゴールデンクロスが発生した際に、RSIがまだ過熱圏(買われすぎの水準)に達していなければ、まだ上昇の余地があると判断できます。このように複数の指標が同じ方向を示している場合にエントリーすることで、ダマシのリスクを軽減できます。 [10, 18]

第5章:初心者のためのQ&A

最後に、初心者が抱きがちな疑問についてお答えします。

Q1. どの証券会社のツールがおすすめ?
A1. SBI証券や楽天証券、松井証券などの大手ネット証券では、無料で高機能なチャートツールを提供しています。 [9, 14, 19] これらのツールでは、移動平均線はもちろん、RSIやMACDなど様々なテクニカル指標を簡単に表示させることができます。口座開設も無料でできるので、まずはいくつか試してみて、自分にとって使いやすいツールを見つけるのが良いでしょう。新NISA口座にも対応している証券会社がほとんどです。 [9, 12, 14]
Q2. 移動平均線だけで勝てる?
A2. 残念ながら、移動平均線だけで勝ち続けることは非常に困難です。移動平均線はあくまで過去の株価データから作られた指標であり、未来を100%予測するものではありません。 [matsui.co.jp] 重要なのは、企業の業績を分析する「ファンダメンタル分析」と組み合わせたり、損切りルールを徹底したりするなど、総合的な投資戦略を持つことです。移動平均線は、その戦略の一部として活用する強力な武器と捉えましょう。
Q3. どの期間設定が一番いいの?
A3. これに唯一の正解はありません。デイトレードのような短期売買なら5日や10日線が、中長期投資なら25日や75日、200日線が意識されやすいです。 [8, 13] まずは多くの投資家が使っている「5日・25日・75日」の組み合わせから始めて、自分の投資スタイルに合わせて調整していくのがおすすめです。

まとめ:移動平均線を使いこなし、投資の精度を高めよう

今回は、株式投資のテクニカル分析における基本の「移動平均線」と、それを使った売買サイン「ゴールデンクロス」「デッドクロス」について詳しく解説しました。

  • 移動平均線は、株価のトレンドを滑らかにし、視覚的に分かりやすくしてくれる便利なツールです。
  • ゴールデンクロスは、短期線が長期線を下から上に抜ける現象で、強力な「買いサイン」とされています。
  • デッドクロスは、短期線が長期線を上から下に抜ける現象で、注意すべき「売りサイン」です。
  • ただし、これらのサインは100%ではなく、「ダマシ」も存在します
  • ダマシを避けるためには、長期のトレンド確認、出来高のチェック、他の指標との組み合わせが有効です。

初めは難しく感じるかもしれませんが、実際のチャートで何度も移動平均線を表示させ、過去のゴールデンクロスやデッドクロスの場面で株価がどう動いたかを確認する練習を繰り返すことで、徐々に感覚が掴めてきます。ぜひ、この記事を参考に移動平均線をマスターし、あなたの投資戦略に役立ててください。