【初心者向け】日経平均・TOPIX・グロース250の違いを徹底解説!あなたに合う株価指数はどれ?
株式投資を始めると、必ずと言っていいほど耳にする「日経平均株価」や「TOPIX」といった言葉。これらは日本の株式市場全体の動きを示す「株価指数」と呼ばれるものです。 [2, 3] さらに、最近では成長企業に焦点を当てた「東証グロース市場250指数」も注目されています。 [22]
「どれも日本の株価のことでしょ?」「何が違うの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。実は、これらの指数はそれぞれ異なる特徴を持っており、その違いを理解することは、自分の投資スタイルに合った商品を選ぶ上で非常に重要です。
この記事では、日本の代表的な3つの株価指数「日経平均株価」「TOPIX」「東証グロース市場250指数」について、それぞれの仕組みや構成銘柄、計算方法の違いなどを、投資初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたに最適な株価指数が見つかるはずです。
1. 日本を代表する3つの株価指数とは? まずは基本を抑えよう
まずは、3つの指数がそれぞれどのようなものなのか、基本的な概要から見ていきましょう。
1.1. 日経平均株価 (日経225)
日本の顔ともいえる代表的な指数
「日経平均」や「日経225」とも呼ばれ、ニュースで最もよく聞く株価指数です。 [10, 42] 日本経済新聞社が、東京証券取引所のプライム市場に上場している企業の中から、業種のバランスや市場での売買の活発さ(流動性)を考慮して選んだ、日本を代表する225社の株価を基に算出されています。 [13, 17, 18]
- 選定元: 東京証券取引所 プライム市場
- 銘柄数: 225社 (固定) [10]
- 選定者: 日本経済新聞社 [13]
- 特徴: 日本の主要企業の動向を反映し、メディアでの露出が最も多い。 [13]
1.2. TOPIX (東証株価指数)
市場全体の動きを映す鏡
「TOPIX(トピックス)」は “Tokyo Stock Price Index” の略で、東京証券取引所が算出しています。 [5, 20] 基本的に、プライム市場に上場しているほぼ全ての銘柄(約1,700銘柄)を対象としており、日本株式市場全体の動きをより広範に捉えることができる指数です。 [5] そのため、多くの機関投資家や投資信託が運用の目安(ベンチマーク)として利用しています。 [33, 39]
- 選定元: 東京証券取引所 プライム市場
- 銘柄数: 約1,700銘柄 (変動あり) [5]
- 選定者: 東京証券取引所 [5]
- 特徴: 日本株全体の動きを把握するのに適しており、分散投資の基本となる。 [23]
1.3. 東証グロース市場250指数 (グロース250)
未来のスター企業が集う場所
「グロース250」は、高い成長性が期待される新興企業が多く上場する「グロース市場」の銘柄から、時価総額などを基に選ばれた250銘柄で構成される指数です。 [14, 22] 以前は「東証マザーズ指数」として知られていましたが、2023年に現在の名称に変更されました。 [14] IT、バイオ、サービス関連など、新しいビジネスモデルを持つ企業が多く含まれています。
- 選定元: 東京証券取引所 グロース市場
- 銘柄数: 約250銘柄 (変動あり) [22, 30]
- 選定者: 東京証券取引所(JPX総研) [30]
- 特徴: 新興・成長企業の動向を反映し、ハイリスク・ハイリターンな投資対象。 [38]
2. 指数の動きを決める!計算方法の大きな違い
3つの指数の最も大きな違いは、その「計算方法」にあります。この違いが、指数の値動きに個性をもたらす重要なポイントです。
2.1. 日経平均株価の「株価平均型」:株価の高い銘柄の影響力が大きい
日経平均は「株価平均型」という方法で計算されます。 [6, 32] これは、構成銘柄の株価を単純に合計し、それを銘柄数(と特別な調整値)で割る、いわば「平均株価」の考え方です。 [42]
この方式の最大の特徴は、株価の高い銘柄(「値がさ株」と呼ばれます)の値動きが、指数全体に大きな影響を与える点です。 [1, 10, 12]
例えば、株価が30,000円のA社と、株価が1,000円のB社があったとします。同じ10%の値動きでも、A社は3,000円動くのに対し、B社は100円しか動きません。このため、日経平均はファーストリテイリング(ユニクロ運営会社)など、一部の値がさ株の動向に左右されやすいという性質を持っています。 [20]
【用語解説:値がさ株】
「ねがさかぶ」と読み、1株あたりの株価が高い銘柄のことを指します。 [9, 16] 明確な定義はありませんが、一般的に株価が5,000円以上で、1単元(100株)買うのに50万円以上必要になるような銘柄を指すことが多いです。 [9, 12]
2.2. TOPIXとグロース250の「時価総額加重型」:企業規模の大きい銘柄が主役
一方、TOPIXとグロース250は「時価総額加重型」という方法で計算されます。 [5, 27, 29] これは、各銘柄の「時価総額」に応じて、指数に与える影響の大きさを変える方法です。 [32, 34]
時価総額は「株価 × 発行済み株式数」で計算され、企業の規模や市場での評価額を示します。 [41] この方式では、時価総額の大きい(つまり、規模の大きい)企業の株価が動くと、指数全体への影響も大きくなります。
TOPIXでは、トヨタ自動車やソニーグループといった、日本を代表する巨大企業の動向が指数に強く反映されます。 [23, 28] グロース250も同じ計算方法ですが、対象が成長企業であるため、その中での時価総額上位企業のパフォーマンスが指数を左右します。 [30]
計算方法の違いによるパフォーマンスの差
この計算方法の違いにより、同じ日本の株式市場でも、指数の動きにズレが生じることがあります。
- 日経平均が強い時:一部の値がさ株が大きく上昇する局面。
- TOPIXが強い時:幅広い銘柄、特に時価総額の大きい大型株が全体的に上昇する局面。
一般的に、TOPIXの方がより多くの銘柄を対象とし、時価総額で重み付けするため、「市場全体の実態をより正確に表している」と言われることが多いです。 [23, 33] そのため、プロの投資家はTOPIXをベンチマーク(運用成績の基準)として重視する傾向があります。 [33, 39]
3. どんな企業が含まれている?構成銘柄の比較
それぞれの指数がどのような企業で構成されているかを知ることも、投資判断の助けになります。
3.1. 日経平均株価の構成銘柄
日本を代表する有名企業がずらりと並びます。業種も技術、消費、素材、金融など、バランス良く選定されています。 [15]
- 主な業種: 電気機器、小売業、化学、医薬品、自動車など
- 代表的な銘柄例: ファーストリテイリング、東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、KDDI、トヨタ自動車など [15, 41]
いわゆる日本の「ブルーチップ(優良株)」が集まっているイメージです。
3.2. TOPIXの構成銘柄
プライム市場のほぼ全ての企業を含むため、日経平均採用銘柄はもちろんのこと、中小型株まで幅広くカバーしています。 [5, 8] 時価総額上位は日経平均と重なる企業が多いですが、構成銘柄数が圧倒的に多いため、より多様な業種が含まれています。 [5, 42]
- 主な業種: 日経平均の業種に加え、より細かなセクターを網羅
- 上位銘柄例: トヨタ自動車、ソニーグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、キーエンス、日立製作所など [23]
日本経済の縮図とも言える、非常に幅広いラインナップが特徴です。
3.3. 東証グロース市場250指数の構成銘柄
こちらは、今後の成長が期待される新興企業が中心です。まだ規模は小さいものの、独自の技術やサービスで急成長を目指す企業が集まっています。 [11, 14]
- 主な業種: 情報・通信、サービス業、医薬品、AI関連など
- 代表的な銘柄例: ビジョナル、ジーエヌアイグループ、フリー、カバー、ライフネット生命保険など [30, 36]
高成長が期待できる反面、業績や株価の変動が大きくなる傾向があります。
4. ETFで手軽に投資!各指数に連動する代表的な商品
「日経平均やTOPIXに投資したい」と思っても、225社や1,700社の株を個別に買うのは現実的ではありません。そこで便利なのが、これらの株価指数に連動するように設計された「ETF(上場投資信託)」や「インデックスファンド」です。 [10, 43]
ETFは証券取引所に上場しており、株式と同じようにリアルタイムで売買できる投資信託です。 [21] 1つ買うだけで指数全体に分散投資できるため、初心者にも人気の金融商品です。 [43]
以下に、各指数に連動する代表的なETFをまとめました。ETFを選ぶ際は、運用にかかるコストである「信託報酬」の低さや、取引のしやすさの目安となる「純資産総額」の大きさがポイントになります。 [35]
代表的な連動ETFの比較表
指数 | ETF名(銘柄コード) | 信託報酬(年率) | 純資産総額 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
日経平均株価 | NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 (1321) | 約0.1% | 約10兆円超 | 最も純資産が多く、流動性が高い代表的なETF。 [40] |
iシェアーズ・コア 日経225 ETF (1329) | 約0.05% | – | 信託報酬が非常に低いのが魅力。 | |
TOPIX | NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信 (1306) | 約0.06% | 約23兆円超 | 日本最大級のETF。圧倒的な純資産と流動性。 [40] |
iシェアーズ・コア TOPIX ETF (1475) | 約0.06% | 約1.9兆円 | こちらも信託報酬が低く、人気が高い。 [31, 37] | |
東証グロース250 | 東証グロース250ETF (2516) | 約0.55% | 約212億円 | グロース市場全体に投資できる唯一のETF。 [30, 36] |
※信託報酬や純資産総額は2025年7月時点の概算値であり、変動する可能性があります。最新の情報は各運用会社のウェブサイトでご確認ください。
5. まとめ:あなたの投資スタイルに合うのはどれ?
これまで見てきた特徴を踏まえ、どのような投資家がどの指数に向いているのかをまとめました。
【安定志向・初心者】市場全体に幅広く分散投資したいなら → TOPIX
TOPIXは日本の株式市場全体を広範にカバーしており、特定の銘柄への依存度が低いため、最も分散が効いた指数と言えます。 [5, 23] 「まずは日本株全体に投資してみたい」「安定的に市場の成長の恩恵を受けたい」という初心者の方や、長期的な資産形成の核(コア)としたい方には、TOPIX連動のETFや投資信託が最適です。
【ニュース連動・有名企業】市場の話題の中心に投資したいなら → 日経平均株価
日経平均はニュースで毎日報じられ、日本の景気動向の代名詞として使われるなど、最も知名度が高い指数です。 [13] 日本を代表する有名企業に投資している実感を持ちたい方や、日々のニュースと値動きの連動性を楽しみたい方には、日経平均連動のETFがおすすめです。ただし、一部の値がさ株に影響されやすいという点は理解しておく必要があります。 [12]
【積極的・成長性重視】将来の大きなリターンを狙いたいなら → 東証グロース市場250指数
グロース250は、高い成長ポテンシャルを秘めた新興企業群に投資する、ハイリスク・ハイリターンな指数です。 [38] 株価の変動は大きいですが、将来のGAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)のような企業に早期から投資したい、という夢があります。リスク許容度が高く、ポートフォリオの一部で積極的にリターンを狙う「サテライト」戦略を取りたい方に向いています。
いかがでしたでしょうか。日経平均、TOPIX、グロース250は、それぞれに異なる個性と役割を持っています。それぞれの違いを正しく理解し、ご自身の投資目的やリスクに対する考え方に合わせて、最適な指数を選んでみてください。まずは少額からETFなどを通じて、それぞれの指数の値動きを体感してみるのも良いでしょう。