初心者必見!低コスト海外ETFで始める世界分散投資【徹底解説】

初心者必見!低コスト海外ETFで始める世界分散投資【徹底解説】

世界地図 投資イメージ

「海外ETF」とは、海外の取引所に上場しているETF(上場投資信託)のことです。日本にいながら低コストで世界中の株式や債券に分散投資できるため、投資初心者にもおすすめの資産運用手法として人気が高まっています。海外ETFの中には、1本で数千の銘柄に投資できるものもあり、専門的な知識がなくても簡単に国際分散投資を始められるのが大きな魅力です。この記事では、人気の海外ETFの比較から、税金の注意点、初心者向けのポートフォリオ例、長期投資のメリットとリスク、そして具体的な購入方法まで、専門用語を避けつつ分かりやすく解説していきます。

人気の海外ETF 概要と比較

まずは、特に初心者に人気のある代表的な海外ETFをいくつかご紹介します。それぞれ経費率(ETFを保有する上で年間にかかるコスト)や投資対象、規模などを比較し、ご自身に合ったETFを見つける参考にしてください。

VT(Vanguard Total World Stock ETF):これ1本で世界に投資

VTは、1本で全世界の株式に投資できる、まさに「全部入り」のETFです。世界47カ国以上、約7,600銘柄に分散投資を行い、世界の株式市場の98%以上をカバーしています。これ1本で理想的な国際分散ポートフォリオが完成するため、「何から始めたらいいか分からない」という初心者にとって最適な選択肢の一つと言えるでしょう。経費率も年0.06%と非常に低く、長期保有に適しています。 [25]

VOO・SPY(米国S&P500連動ETF):世界経済の中心に投資

VOO(Vanguard S&P 500 ETF)SPY(SPDR S&P 500 ETF)は、どちらもアメリカの代表的な株価指数であるS&P500に連動するETFです。S&P500は、米国の主要な大企業500社で構成されており、その動向は世界経済の指標とも言えます。両者の大きな違いは経費率で、長期投資を考えるならコストの低いVOO(年0.03%)がより魅力的です。 [19, 23] SPYは世界で最も取引量が多いETFであり流動性に優れていますが、個人投資家にとってはVOOでも十分な流動性があります。

EFA(先進国株式ETF)とその他の地域ETF

EFA(iShares MSCI EAFE ETF)は、アメリカを除く先進国の株式に投資するETFです。日本やヨーロッパなどの先進国が含まれており、米国のETFと組み合わせることで、より広い範囲の国際分散投資が可能になります。ただし、EFAは経費率が年0.32%とやや高めです。同じような対象に投資するETFとして、より低コストのVEA(Vanguard FTSE Developed Markets ETF)(経費率0.05%)も人気があります。さらに、成長が期待される新興国市場に投資するVWO(Vanguard FTSE Emerging Markets ETF)なども存在し、これらを組み合わせることで、よりきめ細やかなポートフォリオを構築できます。

人気ETFの比較まとめ(2025年時点の参考情報)

ETF(ティッカー) 投資対象 経費率(年率) 特徴
VT 全世界株式 0.06% [25] これ1本で世界中に分散。初心者に最適。
VOO 米国S&P500 0.03% [23] 超低コストで米国主要企業に投資。
SPY 米国S&P500 0.0945% 世界最大の取引量と流動性。VOOよりコストは高め。
EFA/VEA 米国を除く先進国株式 0.32% / 0.05% 米国株との組み合わせで分散効果アップ。VEAが低コスト。
VWO 新興国株式 約0.10% 高い成長が期待されるがリスクも高め。

海外ETFと税金:知っておきたい二重課税とNISAのポイント

海外ETFに投資する際、税金の仕組みは国内株式とは少し異なります。特に「二重課税」と「NISA口座」の扱いは重要なポイントです。

配当金の二重課税と外国税額控除

米国籍のETFから受け取る配当金には、まず現地アメリカで10%の税金が源泉徴収されます。その後、日本国内でさらに約20%の税金が課されるため、何もしないと二重に税金を支払うことになります。 [1] この二重課税を解消するために「外国税額控除」という制度があり、確定申告を行うことで、アメリカで支払った税金分を日本の所得税から差し引く(還付してもらう)ことが可能です。 [1, 11] これにより、実質的な税負担を国内株式と同等の水準に近づけることができます。 [22]

NISA口座を利用する場合

NISA(少額投資非課税制度)口座を使えば、海外ETFの配当金や売却益にかかる日本国内の税金(約20%)が非課税になります。 [6] これは非常に大きなメリットですが、注意点もあります。NISA口座を利用した場合でも、アメリカで源泉徴収される10%の税金はかかってしまいます。 [6] さらに、この10%分はNISA口座では非課税扱いのため、外国税額控除を適用して取り戻すことはできません。 [2, 6] それでも、国内課税がまるごと非課税になるメリットは大きいため、まずはNISA枠を優先的に活用するのがおすすめです。

初心者におすすめ!海外ETFポートフォリオ3選

ここでは、初心者の方が始めやすい海外ETFのポートフォリオ(資産の組み合わせ)の例を3つ紹介します。ご自身の投資目標やリスク許容度に合わせて参考にしてください。

ポートフォリオ 円グラフ

ポートフォリオ①:VT1本で!全世界株式100%

最もシンプルで分かりやすいのが、VT(全世界株式ETF)1本に集中投資する方法です。これだけで世界中の株式に分散投資が完了し、管理も非常に簡単です。長期的に世界経済の成長の恩恵を受けたいと考える、特に20代〜30代の若い世代におすすめです。

ポートフォリオ②:米国株+先進国株でカスタマイズ

自分で少し比率を調整したい方向けの組み合わせです。例えば、「VOO(米国株)70%+VEA(米国除く先進国株)30%」のように、世界経済の中心である米国に軸足を置きつつ、他の先進国にも分散するポートフォリオです。VTよりも米国への比重を高めたい場合に有効です。

ポートフォリオ③:株式+債券で安定性を重視(60/40ポートフォリオ)

値動きの大きさが心配な方には、株式と債券を組み合わせるバランス型がおすすめです。代表的なのが「株式60%:債券40%」の配分で、伝統的な資産配分として知られています。 [3, 16] 株式と債券は異なる値動きをする傾向があるため、株式市場が下落した際にも債券がクッションとなり、資産全体の値下がりを緩やかにする効果が期待できます。 [3, 7] 具体的には、「VT 60%+AGG(米国総合債券ETF)40%」のような組み合わせが考えられます。

なぜ世界分散投資なのか?長期的なメリットとリスク

海外ETFで世界に分散投資をすることには、長期的な資産形成において多くのメリットがあります。しかし、リスクが全くないわけではありません。

長期投資のメリット

  • 複利効果:配当金を再投資することで、利益が利益を生む「複利」の力が働き、時間が経つほど資産が雪だるま式に増える効果が期待できます。
  • 時間分散:長期間にわたって積立投資を続けることで、購入価格が平均化され、高値掴みのリスクを抑えることができます。 [20]
  • 低コスト:海外ETFは経費率が非常に低いものが多く、長期で保有すればするほど、そのコストの低さがリターンに大きく貢献します。
  • 市場平均のリターン:個別の企業の業績に左右されず、「世界経済全体の成長」という大きな流れに乗ることができます。過去、全世界株式は長期的に年平均5%〜8%程度のリターンを上げてきました。 [5, 10, 9]

考慮すべきリスク

  • 価格変動リスク:分散投資をしても、市場全体が下落する局面では資産価値が下がることがあります。リーマンショックのような経済危機では、一時的に50%近く下落する可能性もゼロではありません。
  • 為替リスク:海外ETFは主に米ドル建てのため、円高になると円換算での資産価値が目減りし、逆に円安になると増えるという為替レートの変動リスクがあります。
  • 機会損失のリスク:市場平均を目指す投資のため、特定の個別株が急騰した時のような爆発的なリターンは得られません。「大勝ち」はしにくいですが、その分「大負け」もしにくいのが分散投資の特徴です。

分散投資の最も重要な意義は、「将来どの国や資産が最も成長するかは誰にも予測できない」という不確実性に対する備えです。様々な資産に投資を分散させておくことで、大きな失敗を避け、安定的に資産を成長させることが可能になります。

海外ETFの始め方:証券会社の選び方から購入まで

最後に、実際に海外ETFを購入するための手順と、証券会社選びのポイントを解説します。

購入までの5ステップ

  1. 証券口座を開設する:まずは、海外ETFを取り扱っているネット証券で口座を開設します。SBI証券、楽天証券、マネックス証券などが大手で人気です。 [4]
  2. 外国株取引口座を有効にする:証券会社によっては、総合口座とは別に外国株取引専用の口座開設手続きが必要です。 [13]
  3. 資金を入金する:証券口座に日本円を入金します。
  4. 円をドルに両替する:米国ETFを購入するために、入金した円を米ドルに両替します。
  5. ETFを注文する:買いたいETFのティッカー(例:VT, VOO)を検索し、数量を指定して注文します。

ネット証券 ロゴ

証券会社選びの3つのポイント

  • 手数料:米国株の売買手数料は、主要ネット証券であれば約定代金の0.495%(上限22ドル)程度で横並びですが、最低手数料が0ドルの証券会社も増えています。 [12, 15] また、NISA口座での買付手数料は無料になる場合が多いです。 [8]
  • 取扱銘柄数:主要なETFはどの証券会社でも取り扱っていますが、よりマニアックなETFに投資したい場合は、取扱銘柄数が多いマネックス証券などが有利です。 [8, 12]
  • 為替手数料と関連サービス:円をドルに両替する際の為替手数料も比較ポイントです。マネックス証券はキャンペーンで無料になることが多く、SBI証券は提携銀行を使うと安くなるなど、各社に特徴があります。 [13, 15]

SBI証券、楽天証券、マネックス証券といった大手ネット証券なら、どこを選んでも初心者にとって大きな失敗はありません。 [4, 8] ご自身の使いやすさや、ポイントサービスなどとの連携を考えて選ぶと良いでしょう。

まとめ

海外ETFを活用した世界分散投資は、「分散・長期・低コスト」という資産形成の王道を、誰でも手軽に実践できる優れた方法です。最初は少額からでも、一歩を踏み出すことで世界経済の成長を自身の資産形成に繋げることができます。この記事を参考に、ぜひグローバルな投資を始めてみてください。