毎月1万円の積立で100万円を目指す!ドルコスト平均法で始める堅実投資入門

毎月1万円の積立で100万円を目指す!ドルコスト平均法で始める堅実投資入門

新社会人や投資初心者が、毎月1万円の積立投資によって資産100万円を目指す方法を解説します。キーワードはドルコスト平均法(DCA)です。難しい専門用語もできるだけかみ砕き、具体的なシミュレーションや事例を交えて、初心者にも分かりやすく説明します。少額からコツコツ始めて、着実に資産形成を進めるコツを一緒に見ていきましょう。

ドルコスト平均法(DCA)とは?

ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を「一度にまとめて買う」のではなく、一定額を定期的に継続して購入していく投資手法のことです。 [2, 12, 18] 例えば毎月決まった日に1万円ずつ投資信託を買うように、時間を分散して投資する方法です。価格が高いときは少なく、安いときには多くの量を買えるため、購入価格の平均が平準化されていきます。 [3, 10] その結果、「高値づかみ」のリスク(相場の高い時にまとめ買いしてしまい、その後値下がりで損するリスク)を減らせるのが特徴です。 [3, 13]

ドルコスト平均法 イメージ図

たとえば、毎月1万円を投資する場合を考えてみましょう。ある投資信託の基準価額が毎月上下しながら推移しても、ドルコスト平均法では毎回1万円ずつ購入します。価格が高い月は1万円では少ない口数(量)しか買えませんが、価格が低い月は1万円で多くの口数を買い付けることができます。どんな値動きでも一定額ずつ買い続けることで、価格変動を気にしすぎずに済む点が、投資初心者にも向いている積立スタイルと言えるでしょう。 [4]

ドルコスト平均法が有効とされる理由(メリット)

ドルコスト平均法には、初心者に嬉しい様々なメリットがあります。 [5] ここでは心理面・経済面の観点から主な利点をまとめます。

  • 平均取得単価を抑えられる:先述の通り、価格が安いときに多く買い、高いときに少なく買うことで購入単価の平均を低く抑える効果があります。 [3, 5] 長期で投資すればするほど購入価格が平準化され、高値掴みのリスクを下げられます。 [3]
  • タイミングを気にせず続けられる:「いつ買うのが正解か」を悩む必要がなく、相場の変動に振り回されにくいのも大きな利点です。 [13, 18, 32] 機械的に定額投資を続けることで心理的な負担が軽減でき、感情に左右された誤った判断(高値で飛びついたり安値で慌てて売ったり)を避けることができます。 [4, 42]
  • 計画的にコツコツ貯められる:毎月の出資額(投資額)が最初から一定と決まっているため、家計の中に組み込みやすいメリットもあります。 [10] 収入から「毎月1万円は先取り貯蓄のように投資に回す」とルール化できるので、無理なく習慣化できます。また証券会社によっては月100円から積立できるところもあり、少額から誰でも気軽に始めやすい投資法です。 [4, 10, 41]
  • 価格下落時も前向きになれる:ドルコスト平均法は長期的な積立が前提なので、途中で基準価額が下がっても「安くたくさん買えるチャンス!」と前向きに捉えやすい面があります。 [10, 12] 実際、相場下落局面では同じ1万円でより多くの口数を買えるため、将来のリバウンド時にはその分リターンも増える可能性があります。定額積立を続けている限り、下落=悪いことではなく「将来への仕込み時期」と考えられる点は心理的な利点です。

以上のように、ドルコスト平均法は「少しずつ長期に積み立てる」ことで得られる分散効果によって、初心者でも始めやすく続けやすい手法です。 [4] もちろん万能ではありませんが、多くの投資初心者にとって有力な選択肢となるでしょう。

毎月1万円の積立シミュレーション:5年・10年で資産はどう増える?

では、ドルコスト平均法の威力を具体的な数字で確認してみましょう。毎月1万円を積み立てて運用した場合、5年後・10年後に資産はいくらになるかをシミュレーションしてみます(年平均利回りを3%、5%、7%のケースで比較)。金融庁の資産運用シミュレーションなどを参考に作成しました。 [46]

積立投資 シミュレーション グラフ

毎月1万円積立時の資産評価額(元本+運用収益)
積立期間 積立元本 年利3%の場合 年利5%の場合 年利7%の場合
5年後 60万円 約64.6万円 約67.8万円 約71.2万円
10年後 120万円 約139.4万円 約154.3万円 約171.0万円

シミュレーションから、毎月1万円の積立でも5年程度では元本に対する利益は比較的控えめですが、10年続ければ元本120万円に対し数十万円規模の利益が見込めることがわかります。 [6, 9] このように時間をかけて資産を育てることが、目標の100万円達成はもちろん、その先の資産形成でも重要になってきます(複利効果については後述します)。

💡ワンポイント解説:上記シミュレーションでは毎月の積立金額を各月末に投資し、年率利回りを12等分した利率で毎月複利運用した場合を仮定しています。実際の運用利回りは市場環境によって年ごと・月ごとに変動しますが、長期平均で3~7%程度のリターンを狙うイメージです(インデックス投資では年3~5%前後、株式100%なら年5~7%程度を想定するケースが多いです)。

初心者に適した投資商品とポートフォリオ例

では、毎月1万円を積み立てる際、実際に「何に」投資すれば良いのでしょうか。初心者が100万円の資産形成を目指すにあたっては、低コストで分散の効いた投資信託(インデックスファンド)やETFが有力な選択肢になります。

  • インデックス型の投資信託やETFがオススメ:少額から積立をするなら、個別株よりも投資信託やETF(上場投資信託)を活用するのが便利です。 [8, 17] 投資信託なら1本のファンドで国内外の株式・債券・リート(不動産)など世界中の資産にまとめて分散投資できます。 [7] 特にインデックスファンドと呼ばれる、日経平均やS&P500など市場指数に連動するタイプの投資信託は信託報酬(手数料)が低く、長期積立に適しています。 [40]
  • ノーロード&低コストの商品を選ぶ:積立投資では毎月買い付けを行うため、購入時手数料がかからない「ノーロード」ファンドを選ぶのが基本です。 [10, 34] また信託報酬(運用管理費用)も年率0.1~0.3%程度と極力低い商品が望ましいです。幸い、現在はNISA(つみたて投資枠)対象商品など長期積立に適した低コストファンドが数多く提供されています。 [10, 41]

投資 ポートフォリオ 円グラフ

具体的な銘柄選定は別途検討が必要ですが、初心者向きの例として以下のようなポートフォリオ案が考えられます。

  1. 先進国株式インデックスファンド100%:シンプルに成長期待の高い先進国(米国含む)の株式市場に連動するファンド1本に絞る。例えば「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」など。リスクはそれなりにありますが長期ならリターンも期待でき、初心者にも人気のポートフォリオです。
  2. 全世界株式インデックス80% + 国内債券インデックス20%:リスクを少し抑えたい場合は、株式だけでなく安定資産である債券を組み合わせる方法もあります。例えば8千円分を全世界株ファンド、2千円分を国内債券ファンドに積立。債券を混ぜることで価格変動を緩和できます。
  3. バランス型ファンド1本に積立:最初は難しく考えずに、株式・債券など複数資産に自動分散してくれるバランスファンドに積み立てる方法も手軽です。 [22, 26] 1本で完結する商品を選べばリバランス(資産配分の調整)もファンド内で自動的に行われるので管理も簡単です。 [1, 7]

つみたてNISAの活用:少額からの長期積立にはNISA(2024年からは新NISAの「つみたて投資枠」)の活用もおすすめです。つみたて投資枠の対象商品は金融庁のお墨付きファンドで、販売手数料無料&低コストで長期積立に適したものが揃っています。 [10, 40] 運用益が非課税になるメリットも大きいので、ぜひ検討してみましょう。 [27]

投資初心者が注意すべきポイント

ドルコスト平均法による積立投資は初心者向きとはいえ、押さえておくべき注意点もあります。以下に気を付けたいポイントをまとめます。

  • コスト(手数料)に注意:前述のように購入時手数料は原則ゼロのファンドを選ぶべきですが、それ以外にも信託報酬などコストは常に意識しましょう。 [34] NISA枠を使えば売買益・分配金に税金がかからないメリットも享受できます。 [21, 27]
  • 短期の売買には不向き:ドルコスト平均法は長期でコツコツ積み立てることに意味が出る手法なので、数ヶ月~1年程度の短期で大きな利益を狙うような用途には適しません。 [10, 12, 34]
  • 下落相場でも続けられるメンタルを:投資対象の価格が長期間下落し続ければ、トータルで損失になる可能性があります。 [3] 重要なのは、焦ってやめてしまわないことです。積立途中で評価額が元本割れしても、そこで投資を止めてしまえば損失が確定してしまいます。ドルコスト平均法は「時間を味方につける」手法なので、下落局面でも慌てず続けることが必要になります。 [3]
  • 途中で投資方針をぶらさない:相場が大きく動くと、人はつい感情に流されてしまいがちです。「もっと儲かりそうな商品があるのでは?」「暴落しそうだから積立を休止しようかな」などと考え、途中で方針転換したくなるかもしれません。しかし基本的にドルコスト平均法は一度決めた積立ルールを機械的に継続することに意味があるので、頻繁にやり方を変えるのはおすすめできません。 [4]

ケーススタディ:25歳会社員Aさんの5年間の積立体験

最後に、架空のケーススタディとして25歳の会社員Aさんのエピソードを紹介します。Aさんは新卒入社2年目、25歳のときから毎月1万円の積立投資をスタートしました。NISA枠を利用し、商品は初心者に人気の全世界株式インデックス・ファンドを選択。これ1本で世界中の株式に幅広く分散投資できる点に魅力を感じました。

  • 積立開始と心境の変化:最初のうちは評価額の変動に一喜一憂しましたが、次第に「下がった月は安く多く買えるチャンス」と前向きに捉えられるようになりました。
  • コロナショックの経験:積立開始から2年目、コロナショックで評価額は大きく下落。しかし、Aさんは事前に「暴落時こそ続けるべき」と学んでいたため、積立を継続しました。 [3] 結果的に、その後の回復局面で安値で買い付けた分が大きく貢献し、資産はプラスに転じました。
  • 5年後の成果:30歳時点で、積立元本60万円に対し、資産は約68万円に。約8万円(+13%)の利益が出ていました。「銀行預金では得られなかった利益。投資の効果を実感しています」とAさんは語ります。
  • 今後の展望:Aさんはこのまま積立を継続し、まずは100万円達成を目標にしています。給料が上がれば増額も検討しており、投資を習慣化できたこと自体が大きな財産だと感じています。

長期投資の重要性と複利効果について

Aさんのケースからも分かるように、重要なのが長期投資による複利効果です。複利とは、運用で得た利益をさらに次の運用に回すことで「利益が利益を生む」効果のことです。 [21] 運用期間が長くなるほど、この複利の威力で資産が雪だるま式に増えていきます。

先のシミュレーションでも5年から10年に積立期間が倍になると、利益額は4倍以上に拡大しました。 [6, 9] ダイヤモンド・オンラインの記事でも指摘されているように、積立開始から約10年を超えたあたりから資産が増えるスピードが加速していくのが分かります。 [6, 9] 「時間を味方につける」ことができれば、月1万円という小さな種でも大きな資産に育てることが夢ではありません。

100万円達成後の次のステップ

資産100万円はゴールではなく通過点です。さらなる資産形成のために、次のポイントを考えてみましょう。

  1. 分散投資の拡大:資産が100万円規模に育ったらポートフォリオの見直しを検討してみましょう。 [16] 100万円あれば投資商品の選択肢も広がり、新たに債券やREIT(不動産投資信託)などを加えてリスク分散を図ることも可能です。 [7]
  2. 定期的なリバランス:分散投資を行う場合、定期的にリバランス(資産配分の調整)も必要です。 [1, 23] 値上がりした資産を一部売り、値下がりした資産を買い増すことで、当初決めたリスクのバランスを保ちます。 [1, 7]
  3. 非課税制度の継続活用:100万円に到達した後も、ぜひNISA等の非課税制度は継続活用しましょう。新NISAでは生涯投資枠が1800万円と大幅に拡充されています。 [39] マネイロなどの専門家は、老後資金づくりにはNISAとiDeCoの併用が効果的だと述べています。 [16, 33, 36]
  4. 投資額や資産配分の見直し:収入増に合わせて積立額を増やしたり、ライフプランに合わせて資産配分を見直したりと、自身の状況に合わせて投資戦略をアップデートしていきましょう。

資産100万円は、着実に積み立てを続ければ決して夢ではありません。そして100万円に到達した先には、複利の力でより資産が増えやすくなる世界が待っています。「長期・積立・分散」という基本原則を守りつつ、ぜひ将来の更なる資産形成に向けて一歩ずつ進んでいってください。 [16]