1日5分の終値チェックで相場感覚を養う!投資初心者のための記録術

1日5分の終値チェックで相場感覚を養う!投資初心者のための記録術

株価チャート 分析

株式投資を始めたばかりのビジネスパーソンにとって、「相場感覚」を身につけることは、情報に惑わされず冷静な判断を下すための重要なスキルです。しかし、「相場感覚」と聞くと、長年の経験が必要な専門的な能力のように感じてしまうかもしれません。本記事では、投資初心者でも毎日わずか5分の「終値チェック」という簡単な習慣を続けることで、着実に相場感覚を養う方法を具体的かつ丁寧に解説します。専門用語はできるだけ避け、記録用のテンプレートや便利なツールも紹介しながら、今日から始められる実践的なノウハウをお届けします。

終値と出来高とは?投資の基本用語をやさしく解説

まずは、毎日記録する2つの基本用語「終値(おわりね)」「出来高(できだか)」について、初心者の方にも分かりやすく説明します。

終値(おわりね)とは?

終値とは、その日の株式市場の取引が終了した時点で成立した、最後の株価のことです。ニュースで「今日の日経平均株価の終値は…」と報じられる、まさにその価格です。株価は取引時間中に常に変動していますが、終値はその日1日の市場の結果を象徴する代表的な価格と言えます。前日の終値と比較することで、株価が1日で上がったのか下がったのか(これを「前日比」と言います)を把握するための基準となります。

出来高(できだか)とは?

出来高とは、ある一定の期間(通常は1日)で、どれだけの株数が売買されたかを示す数量のことです。 [9] 例えば、ある銘柄の出来高が「100万株」であれば、その日に100万株分の取引が成立したことを意味します。出来高は、市場の「人気」や「活況度」を測るバロメーターと考えることができます。 [14]

  • 出来高が多い:多くの投資家がその銘柄に注目し、活発に取引されている状態。 [9, 19]
  • 出来高が少ない:取引が閑散としており、市場の関心が低い状態。 [19, 23]

出来高が多い銘柄は、買いたい時に買いやすく、売りたい時に売りやすい(これを「流動性が高い」と言います)というメリットもあります。 [20] 株価チャートの下に表示される棒グラフが、この出来高を表しています。 [12, 15]

株価チャート 出来高

なぜ記録する?終値・出来高チェックの4つのメリット

毎日たった5分、数字を記録するだけのシンプルな作業ですが、これには投資初心者が相場に慣れるための多くのメリットが詰まっています。

  1. 日々の値動きに慣れる
    毎日終値を記録することで、株価の変動に対する感覚が自然と身につきます。最初は少しの値動きに一喜一憂してしまうかもしれませんが、継続することで「このくらいの変動はよくあることだ」と冷静に受け止められるようになります。
  2. 経済ニュースと数字が結びつく
    「〇〇ショックで日経平均が大幅下落」といったニュースを聞いたとき、自分の記録と照らし合わせることで、その影響を具体的な数字として実感できます。ニュースが自分事として捉えられるようになり、経済への理解が深まります。
  3. 市場の熱量を体感できる
    出来高の増減を追うことで、「今日は市場全体が活発だったな」「この銘柄に注目が集まっているな」といった市場の温度感を肌で感じられるようになります。 [15] 「出来高は株価に先行する」とも言われ、将来の値動きを予測するヒントになることもあります。 [9]
  4. 主体的な投資姿勢が身につく
    情報を受け身で見るだけでなく、自らデータを記録・蓄積することで、投資に対する主体性が養われます。自分だけのデータをもとに「今週は上昇傾向だったな」などと考察する習慣は、将来の投資判断における重要な土台となります。

終値・出来高はどこで見る?おすすめ無料ツール3選

終値や出来高は、インターネットやスマホアプリを使えば誰でも簡単に無料で確認できます。初心者におすすめの代表的なツールを紹介します。

1. Yahoo!ファイナンス
日本で最も広く使われている投資情報サイトの一つです。個別銘柄や日経平均などの指数について、現在の株価だけでなく、過去の終値や出来高を「時系列」タブで一覧表示できます。 [10] 初心者でも見やすい画面構成で、スマホアプリも提供されています。
2. 株探(かぶたん)
投資家から人気のある情報サイトで、速報ニュースや詳細なデータが充実しています。銘柄ページの「時系列」セクションでは、過去の四本値(始値・高値・安値・終値)や出来高が表形式でわかりやすくまとめられています。
3. 証券会社の公式アプリ
楽天証券の「iSPEED」やSBI証券の「SBI証券 株アプリ」など、普段利用している証券会社のアプリでも株価情報を手軽に確認できます。 [6, 7] これらのアプリは取引機能だけでなく、情報収集ツールとしても非常に高機能です。 [7]

記録を始めよう!ノート vs スプレッドシート徹底比較

記録方法は、手軽に始められる「手書きノート」と、管理・分析に優れた「スプレッドシート」の2つが主流です。それぞれの特徴を理解し、自分が続けやすい方法を選びましょう。

【アナログ派】紙のノートで記録する方法

お気に入りのノートとペンさえあれば、今日からでも始められるのが手書きの魅力です。自分の手で数字を書くことで、変化をより実感しやすく、記憶に残りやすいというメリットがあります。

投資ノート 手書き

記録のポイント:

  • シンプルな項目で始める:最初は「日付」「銘柄名」「終値」「出来高」の4項目で十分です。慣れてきたら「前日比」や簡単なメモ(例:「好決算で急騰」)を加えるのがおすすめです。
  • フォーマットを作る:見開き1ページを1週間にするなど、自分なりのフォーマットを決めると見返しやすくなります。
  • 楽しむ工夫:書きやすいペンを使ったり、週末に1週間を振り返って色ペンでマーキングしたりと、記録が楽しくなるような工夫を取り入れましょう。

【デジタル派】Googleスプレッドシートで管理する方法

パソコンやスマホで管理したい方には、無料で使えるGoogleスプレッドシートが最適です。自動計算やグラフ化など、デジタルならではのメリットがあります。

記録のポイント:

  • テンプレートを作成:一度テンプレートを作れば、あとは毎日数値を入力するだけです。関数を使えば「前日比」などを自動で計算させることも可能です。 [13, 18]
  • 株価を自動取得:GOOGLEFINANCEという関数を使えば、銘柄コード(ティッカーシンボル)を入力するだけで株価を自動で取得できます。ただし、最初は相場に親しむためにも手入力を推奨します。 [13]
  • グラフで可視化:データが溜まったら、終値の推移を折れ線グラフに、出来高を棒グラフにしてみましょう。数値の変化が一目瞭然になり、新たな発見があるかもしれません。 [16]

以下はスプレッドシートの簡単な記録例です。

日付 銘柄名 終値(円) 前日比(円) 出来高(株) メモ
7/22 日経平均株価 39,500 +150 15億 堅調な動き
7/23 日経平均株価 39,200 -300 18億 海外市場安の影響

多くのブロガーが無料でスプレッドシートのテンプレートを公開しているので、参考にしてみるのも良いでしょう。 [8, 17, 18]

1日5分でOK!記録を続けるための3つのコツ

どんなに有益な習慣も、続けなければ意味がありません。忙しいビジネスパーソンでも継続するためのコツを紹介します。

  1. ルーティンに組み込む:「朝の通勤電車の中」「昼休み」「寝る前の5分」など、毎日の生活の中に記録時間を組み込んでしまいましょう。
  2. 完璧を目指さない:疲れて記録できない日があっても構いません。週末にまとめて記録するなど、柔軟に考えましょう。大切なのは完璧さより継続です。
  3. 小さな成長を実感する:「ニュースの数字が理解できるようになった」「株価の動きの背景を考えるようになった」など、自分の小さな変化に気づき、モチベーションにつなげましょう。

週末・月末の振り返りで記録を活かす方法

記録したデータは、定期的に振り返ることでさらに価値が高まります。

  • 週末の振り返り:1週間の終値の推移を見て、上昇傾向だったか、下落傾向だったかを確認します。出来高が特に多かった日があれば、その原因となったニュースやイベントを調べてみましょう。
  • 月末の振り返り:月初の株価と月末の株価を比較し、月間での変動率を確認します。1ヶ月間の相場のストーリーを自分なりに考えてみるのも良い訓練になります。

この振り返りを通じて、日々の小さな値動きに惑わされず、より大きな視点で相場の流れ(トレンド)を捉える「大局観」が養われていきます。 [11]

「相場感覚」とは?記録があなたの投資判断をどう変えるか

本記事で目指す「相場感覚」とは、一言でいえば「市場の動きを肌で感じる力」のことです。 [5] これは経験則に基づく直感的なもので、一朝一夕には身につきません。

しかし、毎日の記録習慣は、この相場感覚を養うための最も効果的なトレーニングの一つです。 [3, 5, 21, 25]

  • 経験値の蓄積:毎日数字に触れることで、「この価格帯は割高感があるな」「この出来高の急増は何かありそうだ」といった感覚が、経験として蓄積されます。 [25]
  • 情報への耐性:自分の中に判断の基準ができるため、ネット上の煽り文句や不確かな情報に惑わされにくくなります。
  • 自信と謙虚さ:自分の立てた仮説と結果を記録で振り返ることで、相場を読む精度が上がり、投資に対する自信と、相場への謙虚さが生まれます。 [21]

スーパーで野菜の値段を見て「今日は高いな」と感じるように、毎日株価を見続けることで、その銘柄の「適正な価格水準」が自然と身体に染み込んでいくのです。 [25]

まとめ:今日から始める「5分間」の投資習慣

投資初心者が相場感覚を養う第一歩は、専門書を読み込むことや、複雑なテクニカル分析をマスターすることではありません。まずは毎日5分、終値と出来高を記録するという、誰にでもできるシンプルな習慣から始めてみましょう。

この地道な積み重ねが、半年後、一年後には、市場のノイズに惑わされずに冷静な判断を下せる、あなただけの強力な武器となります。さあ、今日からノートやスプレッドシートを開いて、未来の自分への投資を始めてみませんか。