【初心者向け】株の逆指値・OCO・IFD注文とは?使い方やリスク管理術を徹底解説
株式投資を始めたばかりの方や、日中は仕事で株価を頻繁にチェックできないビジネスパーソンにとって、「いつ売買すれば良いのだろう?」という悩みはつきものです。そんな悩みを解決してくれるのが、証券会社の「特殊注文」機能です。 [17] 中でも代表的な「逆指値(ぎゃくさしね)」「OCO(オーシーオー)」「IFD(イフダン)」といった注文方法を使いこなせば、感情に左右されずに計画的な取引ができ、リスク管理の精度も格段に向上します。 [17, 21] この記事では、これらの特殊注文の仕組みやメリット、具体的な使い方を、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説します。
株式投資の勝敗を分ける「特殊注文」とは?
株式投資の注文方法には、現在の価格ですぐに売買する「成行(なりゆき)注文」と、希望の価格を指定する「指値(さしね)注文」が基本です。しかし、実際の取引では、もっと複雑な戦略が必要になる場面が多くあります。
例えば、「株価がこのラインを超えたら、上昇トレンドに乗りたい」「もし株価がここまで下がったら、損失が広がる前に売ってしまいたい」といったケースです。こうした状況で役立つのが、あらかじめ設定した条件に株価が到達すると、自動的に注文を出してくれる「特殊注文」です。 [17] 特に、日中に仕事などで相場を見られないサラリーマン投資家にとって、これらの機能を活用できるかどうかは、投資成績に大きく影響します。 [12, 17]
損失を限定し、トレンドに乗る「逆指値注文」
逆指値注文は、通常の指値注文とは逆の考え方で注文を出す方法です。「今より株価が高くなったら買う」「今より株価が安くなったら売る」という設定ができます。 [6] 主に「損切り(ロスカット)」や「トレンドフォロー(順張り)」の目的で使われます。
逆指値注文の仕組みとメリット
逆指値注文の最大のメリットは、リスク管理の自動化です。 [6, 8]
- 損切りを徹底できる:保有している株の株価が下落した場合に備え、「この価格まで下がったら売る」という逆指値注文を入れておくことで、損失の拡大を自動的に防ぐことができます。 [8, 22] 例えば、1,000円で買った株が900円まで下がったら自動で売却するよう設定すれば、それ以上の損失を防げます。感情的に「いつか戻るかも」と期待してしまい、損切りが遅れる「塩漬け株」のリスクを減らせます。 [28]
- 上昇トレンドの波に乗れる:「この抵抗線(レジスタンスライン)を上に抜けたら、本格的な上昇が始まりそうだ」と分析した場合、「現在の株価より高い価格で買う」という逆指値注文が有効です。 [14] 例えば、現在950円の株価が、重要な節目である1,000円を超えたら買うと設定しておくことで、上昇の初動を逃さずに捉えることができます。
このように、逆指値注文は守り(損切り)と攻め(トレンドフォロー)の両方で活躍する、非常に重要な注文方法です。 [13]
逆指値注文の具体例と注意点
【具体例:損切りの場合】
株価1,500円で買った銘柄があります。損失は最大でも10%に抑えたいと考え、「株価が1,350円以下になったら成行で売る」という逆指値注文を設定します。その後、株価が急落しても、1,350円に達した時点で自動的に売り注文が執行され、損失の拡大を防ぎます。
【注意点】
- 必ず指定価格で約定するわけではない:逆指値は「指定した価格に達したら、注文を出す」というトリガーです。そのため、成行で注文を出した場合、市場の状況(例:ストップ安など)によっては、指定した価格よりも不利な価格で約定する「スリッページ」が発生する可能性があります。 [8, 11]
- ボラティリティが高い相場では不向きな場合も:価格変動が激しい銘柄だと、一時的な急落ですぐに損切り注文が約定してしまい、その後の反発を取り逃がす可能性もあります。 [11]
利益確定と損切りを同時に「OCO注文」
OCO(オーシーオー)注文は “One Cancels the Other” の略で、2つの異なる注文を同時に出し、一方が約定(やくじょう:売買が成立すること)したら、もう一方は自動的にキャンセルされる注文方法です。 [1, 9, 10]
OCO注文の仕組みとメリット
OCO注文は、一般的に「利益確定の指値注文」と「損切りの逆指値注文」をセットで使います。 [1, 4] この注文方法の最大のメリットは、一度注文すれば利益確定とリスク管理の両方を同時に設定できる点です。 [4]
例えば、1,000円で購入した株を持っているとします。この株が1,200円まで上がったら利益を確定したい(利確)、しかし、もし900円まで下がったら損失を確定したい(損切り)と考えたとします。この場合、以下の2つの注文をOCOで一度に発注できます。
- ① 1,200円の指値売り注文(利益確定)
- ② 900円の逆指値売り注文(損切り)
この設定により、株価が先に1,200円に達すれば利益確定の売りが成立し、900円の損切り注文は自動でキャンセルされます。逆に、株価が900円に下がれば損切りが実行され、1,200円の利益確定注文がキャンセルされます。 [1] これにより、日中忙しい方でも安心して相場に臨むことができます。
OCO注文の具体例と注意点
【具体例】
現在株価が500円の銘柄を保有中。「600円まで上昇したら利益確定したい」し、「450円まで下落したら損切りしたい」。この場合、「売り注文」で、指値600円と逆指値450円のOCO注文を出します。これで、上下どちらかの価格に到達した時点で自動的に決済が行われます。
【注意点】
- 価格設定の誤り:注文を出す際の現在値と、指値・逆指値の位置関係を間違えると、意図しないタイミングで約定する可能性があります。 [4]
- 有効期間:注文の有効期間を「当日中」にしていると、その日のうちに約定しなければ注文は失効してしまいます。必要に応じて「週末まで」や「期間指定」などを選びましょう。
新規注文から決済まで自動化「IFD注文」
IFD(イフダン)注文は “If Done” の略で、「もし最初の注文(親注文)が約定したら、次の注文(子注文)を自動的に発注する」という、2段階の注文を一度に出せる方法です。 [25, 30] 新規の買い(または売り)注文と、その後の決済注文をセットで予約できます。
IFD注文の仕組みとメリット
IFD注文は、「安くなったら買って、その後、目標価格まで上がったら売る」という一連の取引を自動化したい場合に非常に便利です。 [25, 27] これにより、エントリー(新規注文)からイグジット(決済注文)までのシナリオをあらかじめ設定できます。 [30]
例えば、現在株価が1,000円の銘柄があり、「950円まで下がったら新規で買い、その後1,100円まで上がったら売りたい」と考えているとします。この場合、IFD注文で以下の設定をします。
- 親注文 (If): 950円の指値買い注文
- 子注文 (Done): 1,100円の指値売り注文
まず、株価が950円に下落して親注文の買いが約定します。それが成立した後に、初めて子注文の「1,100円で売る」という注文が有効になります。 [30] これで、寝ている間や仕事中でも、計画通りの取引を自動で実行できるのです。 [27]
IFD注文の具体例と注意点
【具体例】
気になる銘柄の現在株価は2,000円。「押し目(一時的な下落)の1,900円で買って、2,100円で利益確定売りをしたい」というシナリオです。この場合、IFD注文で「親注文:1,900円の買い指値」「子注文:2,100円の売り指値」を設定します。これで、買いから売りまでの一連の流れを予約できます。
【注意点】
- 親注文が約定しないと始まらない:親注文が約定しない限り、子注文は発注されません。 [27] 狙っていた価格まで株価が下りてこなければ、取引は開始されません。
- 子注文は1つだけ:IFD注文では、子注文は1つしか設定できません。 [23] つまり、「利益確定」か「損切り」のどちらか一方しか予約できないのです。このデメリットを解消するのが、次に説明するIFDOCO注文です。
究極の自動注文「IFDOCO注文」
IFDOCO(イフダンオーシーオー)注文は、その名の通りIFD注文とOCO注文を組み合わせた、最も高機能な注文方法です。 [3, 7] 「新規注文が約定したら、利益確定と損切りの両方を同時に設定する」という一連の取引を完全に自動化できます。 [5, 7]
- IFD:新規の「買い(または売り)」注文を出す
- OCO:IFDの注文が約定したら、「利益確定の売り」と「損切りの売り」の2つを同時に出す
【具体例】
株価1,000円の銘柄を「950円で新規買い」したい。もし買えたら、「1,100円で利益確定」するか、「900円で損切り」したい。
この場合、IFDOCO注文で以下のように設定します。
- IF(親注文):950円の買い指値注文
- DONE-OCO(子注文):上記の買いが約定したら、①1,100円の売り指値(利確)と②900円の売り逆指値(損切り)のOCO注文を発注
この注文を出しておけば、エントリーから利益確定、損切りまでの全てのプロセスをカバーできます。まさに、忙しい現代の投資家にとって最強の味方と言えるでしょう。 [3, 5]
各注文方法の使い分けまとめ
ここまで解説した4つの特殊注文の使い分けを、目的別に表にまとめました。
注文方法 | 主な目的 | こんな人におすすめ |
---|---|---|
逆指値 | 損切り / トレンドフォロー | ・損失を確実に限定したい人 ・上昇トレンドの初動を捉えたい人 |
OCO | 利益確定と損切りの両方を設定 | ・保有中の銘柄のリスク管理をしたい人 ・相場の方向性が読めない時 |
IFD | 新規注文と決済注文をセットで予約 | ・狙った価格で買って、目標価格で売りたい人 ・エントリーから決済までを自動化したい人 |
IFDOCO | 新規注文から利確・損切りまで全て予約 | ・取引の全プロセスを自動化したい人 ・仕事中など、相場を全く見られない人 |
まとめ:特殊注文を使いこなし、ワンランク上の投資家へ
逆指値、OCO、IFD、そしてIFDOCOといった特殊注文は、一見すると複雑に感じるかもしれません。しかし、その仕組みとメリットを一度理解してしまえば、あなたの株式投資における強力な武器となります。 [17]
これらの注文方法を駆使することで、以下のようなメリットが得られます。
- 感情的な取引の排除:「もう少し待てば上がるかも…」といった希望的観測や、「怖いから早く売ってしまおう」という恐怖心に惑わされず、あらかじめ決めたルール通りに取引を実行できます。 [27, 32]
- リスク管理の徹底:損失の許容範囲を明確にし、損切りを自動化することで、大きな失敗を防ぎ、長期的に市場に残り続けることができます。 [21, 22]
- 時間の有効活用:常に株価チャートに張り付いている必要がなくなり、本業やプライベートな時間を大切にしながら、落ち着いて資産形成に取り組むことができます。 [12, 15]
まずはご自身の証券口座で、少額からでもこれらの特殊注文を試してみてはいかがでしょうか。最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、実践を重ねるうちに必ず使いこなせるようになります。特殊注文をマスターし、より冷静で計画的な投資家を目指しましょう。